- Nobuo Hoshino's America Rail Trevelog
- 鉄道で行く国立公園
- アムトラック東行「エンパイア・ビルダー」号乗車記
- 「最も美しいロッキー越え」を観る
- 三日目 エセックスからミネアポリス/セントポールへ
- エセックス駅にて
- 1997年9月22日午前8時30分、モンタナ州エセックス(ESM Essex, MT)のアムトラック駅のホームに立っています。ホームにはこれからホテルに宿泊する宿泊客を送迎するホテルの車と運転してきたホテルの従業員と私のみです。
- 昨日の朝から宿泊したモンタナ州エセックスのリゾートホテルアイザック・ウォルトン・イン(Izaak Walton Inn)でこれから乗車するアムトラック東行エンパイア・ビルダー(Empire Bulider)号の遅れを確認しておきました。これは列車ダイヤの概念が無い米国の鉄道旅行では絶対に必要です。しかし、時間通りと云われても平気で2時間遅れた事のあるアムトラックの事ですから列車の姿を確認するまでは安心出来ません。
- エセックスのアムトラック駅のホームは砂利敷きでそれも線路の枕木の下に敷く砕石そのものです。駅の設備は街路灯が一本立っているきりです。この為、列車の遅延を予め確認しておかないととんでもない目に遭ってしまうため事前に確認したわけです。列車到着の待ち時間の無駄を予防するためアイザック・ウォルトン・インのフロントには列車到着時間が掲示されます。遅れる場合はホテル内で待機する事になります。
- エセックス駅を通過している線路はBNSFの本線のモンタナ・デビジョン(Montana Division)のハイ・ライン・サブデビジョン(Hi-Line Subdivision)です。此処はBNSFの本線のロッキー山脈を越える部分の中間点に在ります。
- 列車の到着を前にして緊張が漲る
- 列車の到着時刻が近づくに連れ、緊張が漲ります。此処エセックスがBNSFの本線のロッキー山脈を越える部分の中間点に在る事は述べた通りですが、このBNSFの本線のロッキー山脈越えが通の間での北米で最も美しいロッキー山脈越えでこれを観るには東行エンパイア・ビルダー号の乗客になるしか方法が有りません。天候については日本で天気情報のサイトで天気と予想気温を確認したお陰で昨日に続いて本日も快晴です。
- 午前8時45分東行エンパイア・ビルダー号がアイザック・ウォルトン・インの前を通過してエセックス・アムトラック駅に入線しました。車掌は最後部の車輌の窓から躯を乗り出しながら携帯式無線機で機関士や地上の運転指令へ連絡を取り合っています。これで私の乗車する車輌が判りました。
- 列車の到着
- 午前8時46分東行エンパイア・ビルダー号がエセックス・アムトラック駅に停車した訳ですが、列車は30メートルほど行き過ぎてしまいました。この為、車掌は携帯式無線機で機関士や地上の運転指令へ連絡を取り合いました。間もなく先頭の機関車は警笛を鳴らし、列車は静々と後ずさりして私の目の前に車掌が来るように停車しました。
- 私の目の前に停まった車輌の出入口の扉が開き、客室乗務員が踏み台をホームに卸しました。車内から車掌と此処で降りる唯一の乗客が卸したばかりの踏み台を使用してホームに降り立ちました。私は車掌に乗車券を提示すると、車掌は大きい方の半券を持って行きました。これで検札は完了です。検札中に客室乗務員と私を駅に送ってくれたホテルの従業員は降り立った乗客の荷物を車に積み込みます。入れ替わりに私の荷物を車内に積み込みます。降り立った乗客はホテルの車に乗り込みホテルへ向かいました。
- 列車の出発
- 今回の乗車もスーパー・ライナー(Super-Liner)スタンダード個室寝台(Standard-Bedroom)を予約しました。今回の寝台は進行方向左側で北側の寝台のためロッキー山脈を観るには良い位置でした。しかし、一階の寝台で寝台からの眺望に問題が有りそうなので、ラウンジ車に行く必要が有りそうです。
- 列車は私が個室寝台の座席に腰を落ち着けると直ぐに発車しました。列車が発車して直ぐに客室乗務員が私の居る個室寝台に来て、寝台設備での説明と注意をして行きました。最後に客室乗務員から「何か私に出来ることは有りませんか?」と質問が有ったので、シアトルでの乗車時に個室寝台に有ったボトルワインの事を思い出し、鞄の中からボトルワインを取り出し「此のボトルを開けてくれないか?」と応えました。客室乗務員はエプロンのポケットからボトルオープナーを取り出しボトルの栓を抜いてくれました。
- 列車は最大の見所を通過中
- ワインの栓を抜いて貰って落ち着いて呑んでいる場合ではなく、カメラの用意をします。と云うのもエンパイア・ビルダー号が最大の見所に差し掛かっている為です。
- 通の間での北米で最も美しいロッキー山脈越えがエンパイア・ビルダー号の車窓から見えるのである。カナダVIAのロッキー山脈越え(バンクーバー〜ジャスパー間)やカリフォルニア・ゼファー(California Zypher)号の走る旧リオ・グランデ鉄道(D&RGW Denver & Rio Grande Western Railroad)のロッキー山脈越え(デンバー〜ソルトレーク・シティー間)は大変な評判をとっています。 しかしこのエンパイア・ビルダー号のロッキー山脈越えはスケールの大きさではカナダを凌ぎ、風景の美しさではリオ・グランデを凌いでいます。鉄道ファン(railroad fan)やマニア(railroad buffs)の間では此のロッキー山脈越えを推薦する方が多く見られます。特に山頂に雪が残る初夏のロッキー山脈越えは見物と云われています。
- この北米で最も美しいロッキー山脈越えを観る為にはエンパイア・ビルダー号の客になるしか方法が有りません。エンパイア・ビルダー号は全体で約44時間の行程が有る訳ですが、北米で最も美しいロッキー山脈を越える行程はわずか4時間しか有りません。
- ラウンジ車へ行って撮影
- カメラを持ってラウンジ車へ向かいましたが、持ってきたカメラが風景の良い肝心な場面で役に立ちません。寝台に戻ってカメラを交換する羽目になったため、かなりの部分で撮る機会を逃しました。東行エンパイア・ビルダー号が最大の見所に入って居るためにラウンジ車に空席が無くカメラを構える事も難しくなっています。この為、ラウンジ車の中で立ったまま北米で最も美しいロッキー山脈越えを観ることになってしまいました。窓ガラスも汚れて居るため、最大の見所の印象が薄れてしまいました。此の無念を晴らそうと思っていても晴らす事は未だに叶っていません。
- グレーシャー国立公園の玄関口に到着
- カメラを構えながら撮る機会を逸し続けた不満を抱えたままの私を乗せた、東行エンパイア・ビルダー号はイースト・グレーシャー・パーク(GPK East Glacier, MT)に到着しました。此の駅はグレーシャー国立公園(Glacier National Park)の玄関口とあって活気があります。グレーシャー国立公園内のサービス窓口は駅の向かいのグレーシャー・パーク・ロッジ(Glacier Park Lodge)に集中しています。駅とグレーシャー・パーク・ロッジはグレーシャー国立公園の外に在ります。公園内や近隣の町を結ぶ公共交通機関の受付窓口もグレーシャー・パーク・ロッジに在ります。
- 開拓時代から現代は数十マイル
- イースト・グレーシャー・パーク(GPK East Glacier, MT)に停まっている間の東行エンパイア・ビルダー号から見える風景は当に現代です。グレーシャー国立公園(Glacier National Park)を訪れた観光客の車が駅前に在るグレーシャー・パーク・ロッジの駐車場に留められています。ホワイトフィッシュ(WFH Whitefish, MT)駅を発車してから、自動車を東行エンパイア・ビルダー号のの車窓から見かける事も無く、ひたすら開拓時代から変わらぬ自然の中を時を過ごしたため、私の時間の感覚が変わって開拓時代や鉄道黄金時代に戻っていたようです。しかし、東行エンパイア・ビルダー号の車窓に入る車は、容赦無く私の時間の感覚を現在に引き戻します。エセックス(ESM Essex, MT)から此処まで距離では僅か31マイル、時間にして50分というほんの僅かな開拓時代へのタイムスリップです。
- やはり山は突然に終わっていた
- 東行エンパイア・ビルダー号がイースト・グレーシャー・パーク(GPK East Glacier, MT)を発車すると、直ぐにモンタナ州内の鉄道橋で最も高くて長いトウ・メディスン橋(Two Medicine Bridge)を渡ります。この橋を渡り終わると車窓から見える風景が一変します。ホワイトフィッシュ(WFH Whitefish, MT)からの森林、崖、川沿いの僅かな平地や切り立った山は一切見えず、見えるのはなだらかな起伏を持った牧草地と小麦畑です。
- 此の風景の変わり様をアメリカ鉄道三万マイルでの著者はロッジをすぎると、山は唐突に終わる。と記述しています。去年のコースト・スターライト号の車窓から見た風景にもこのような突然の変化は在りませんでした。
- 三日目 終
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- This page last updated on Mar 19, 2003
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- Text (C) Nobuo Hoshino
- Photo (C) Nobuo Hoshino