*脚本*松尾有香*
超難産だった。

この作品を書いた感想は、この一言に尽きる。
たいてい1ヶ月ぐらいあーでもないこーでもないと考えて、いざ書き始めたら2週間とか長くても一ヶ月で第一稿ができあがるのがいつものパターンだったのに。 去年の10月ぐらいから考えはじめて、11月から書き始めて一回ボツにして一回ボツにされてできたと思ったらダメだしされて、もう一回書き直して。

足かけ半年で私が書きたかったもの。
舞台は大正時代だけれど、人そのものは今を生きている私達と少しも変わらない。
「あいつが好きだ」と言っては悩み、「あいつが嫌いだ」と言っては悩む。
『源氏物語』を例に出すまでもない、霞を食べて生きているいるようなやんごとなき方々も、「携帯がないと生きられな〜い」と口を半開きにしてメールを打つ高校生達も。

みんな同じ様なことで悩んで、悲しんで、苦しんで、喜んで、憎んで、殺して、愛して。

そんな少しも変わらないものを、書きたかった。

難産の末の赤ん坊は。 当然のようにかわいい。
「なんか猿みたい」「…宇宙人?」
そんな言葉はクソ食らえ。
演出や役者の世話になりながら、赤ん坊はすくすくと成長していくことだろう。

どんないい男、いい女になってお客様の前に姿を現すのか。
もしかして、盗んだバイクで走り出しちゃったりしてたら。

楽しみ半分、不安半分。
親の期待を裏切るなよ、と思いつつ。
親の期待を裏切るような子になれよ、と願いつつ。