幸せはすぐ近くにある

秋の夜空の幸せの星たち
時の流れとともに、季節も確実に代わって行く。10月の声を聞いたとたん、まるでタイマーがセットされていたかのように金木犀の花が咲き、大気を甘い香で満たしてくれる。
星空も、ギラギラした夏の星座たちがようやく西に傾き、代わってしっとりと落ち着きのある秋の星座たちが続々登場している。秋の星座は明るい星がなくて寂しいというが、秋の星座までも夏や冬の星座のように華やかだったら、人は星を見なくなるかも知れない。夏の猛暑を生き抜いてきて、疲れたからだと心を癒してくれるのが秋の星空。生きている幸せを感じる瞬間でもある。

ところで秋の星空には、みずがめ座のほかに、うお座・くじら座,そしてやぎ座など、水に関係する星座が集中している。理由は星座のふるさとメソポタミア地方では、太陽がこれらの星座とともに東の空に昇るころ雨季を迎えることから、水にちなんだ星座が創られたということらしい。

そして、みずがめ座には、「幸せ」をキーワードとする星の名前が多い。たとえば,α星は「サダルメリク」=「王様の幸せ」、β星は「サダルスウド」=「幸せの中の幸せ」、ε星は「アルバリ」=「飲む者の幸せ」、γ星は「サダルアクビア」=「秘めた幸せ」といった具合だ。メソポタミアの砂漠同然の地で暮らす民にとって、水は命の次に大切なもの。天から雨を授かることは最高の幸せだったのだろう。


ただひたすらに、幸せになることだけを追い求めた私たち。たしかに経済的・物質的には十分に満たされ、幸せを手に入れたと実感したかもしれない。しかし裕福が幸せなのだろうか?貧乏が不幸せなのだろうか?古代バビロニアの民は、天から恵みの雨が降るだけで幸せを心から感じることができた。そう心から。
現代に生きる私たちは、物質的に豊かになることが幸せだと錯覚して、利己的になり欲張りになり贅沢になってしまった。そして、いつのまにか「心の幸せ」を見失ってしまった。
幸せを測る物差しは、みんな一人一人違うと思う。でも人にとっての究極の幸せは、きっとひとつ。それは、心の底から水のように溢れてくる喜びであるに違いない。

秋の夜長、みずがめ座の幸せの星を探し、ガニメデ少年が担ぐ水がめから流れ出した、幸せの水のシャワーを浴びながら、もう一度「真の幸せ」について考えてみることにしよう。

生きとし生けるものすべてが幸せになるために。



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