タヒチ南海上皆既日食

あいつが還ってきた 2010年7月12日
大揺れの船の上、幻想的なコロナを見た!


 昨年7月22日の今世紀最長の皆既日食から1年、またまた皆既日食が還って来た。ところが、今回の皆既帯のほとんどは南太平洋上。かろうじていくつかの小さな島が皆既日食という恩恵にあずかっている程度だ。そのなかで最も魅力的な島はイースター島、モアイ像と皆既日食だなんて、考えただけでもワクワクする。しかしとても行き辛い、宿泊が難しい、その時期は雨季というわけで、早々と断念し他を探した。クック諸島のマンガイア島、ツアモツ諸島ハオ島などがあるが、どうやらサバイバルツアーとなりそうだ。インストラクターとしてツアー主催者側の立場である私としては、昨年のリベンジを果たさなければならないし、比較的高齢者が参加するツアーでは、日程が過酷であってはいけないという観点から、タヒチの南海上を走る皆既帯に、南海の楽園タヒチから船で移動するという方法を選んだ。もちろん、船上での観望となるので、船酔いする人にとっては厳しいし、本格的な撮影や観測にも向いているといは言えない。とはいうものの、晴れ間を求めて移動することができるという大きなメリットがある。

●船は大揺れ
 成田空港からチャーター便で、11時間ほどでタヒチに到着。乾季のせいもあって、とても過ごしやすく天気も上々である。天頂に上ったさそり座から南北に伸びる天の川の姿は圧巻だ。
皆既帯へは、全長約50m排水量5000tのカーフェリーで5時間ほどかけて向かう。本来ならば2万t級の船に乗りたいところだが、これがタヒチで最も大きい船とあらば仕方がない。道中揺れないでくれと祈るばかりだ。
 7月11日午前1時いよいよ出航。船は南へと進路をとった。出航直後は、大きな揺れもなくこれなら大丈夫と思ったが甘かった。外洋に出るに従い、揺れは確実に大きくなり、2時間後には角度にして10°程の前後左右の揺れとなってしまった。こうなると、乗客はじっとしていられない。ビニール袋を持っておろおろする者、トイレに駆け込む者が右往左往し始めた。
 これだけ揺れると、カメラを三脚に固定して撮影なんて悠長なことを言っていられない。私は、手持ちでどれぐらいの望遠で、どれぐらいの低速シャッターで切れるかを、東の空に昇った木星を使ってテスト撮影することにした。300mmを越えると、写野に木星をとどめておくことも困難。250mmが限界といったところだ。シャッタースピードは、高感度化と手ぶれ補正機能の効果で、なんとか1/30秒までならぶれることなくシャッターが切れることがわかった。最近のデジタル一眼レフは、実に優秀である。

●さあいよいよ皆既だ!
 さあ、いよいよ本番。船は揺れながらも皆既帯に無事到着。天気も水平線付近には雲があるものの、昨年の上海とは雲泥の差だ。7時16分、高度9°程に昇った太陽は、ゆっくり欠け始め、ときおり雲に隠れながらも順調に皆既へと進んでいった。ところが、98%ほど欠けたところで雲に突入し、雲越しに金の糸のように細い太陽がちらちら見える程度、太陽が雲から出るのが早いか、ダイヤモンドリングが早いか、一刻を争う状況となった。結果は、自然は私たちに味方してくれ、雲から出た直後に大歓声の中美しいダイヤモンドリングとなった。
 その後黒い太陽の周りにコロナが広がると同時にあたりは薄暗くなり、水平線はぐるり夕焼け、ダークブルーの空には、シリウス、カノープス、木星がきらきら輝いている。シャッターを切りながら幻想的な光景にうっとりしていると、非情にも黒い太陽は雲隠れ。そのままダイヤモンドリングに突入かと落胆したら、またまた自然の女神が微笑んでくれ、雲から出た直後にダイヤモンドリング。
 こうして、揺れに揺れたスリル満点の皆既日食は、十分昨年のリベンジを果たして終了した。
今回の皆既日食で感じたことは、2008年2009年の皆既日食より、コロナが明るく勢いがあったこと、最近のデジタル一眼レフなら、手持ちでもけっこうコロナを撮影できるということだった。そして、もう2万t以下の船での日食観望は、二度とすまいとも思った。
次は2012年11月14日、ケアンズを夢見て・・・・・



コンパクトデジカメによる夏の銀河
皆既日食は人の価値観を変える


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