2012年注目の天文現象

星空を眺めていると、宇宙は雄大でほとんど変化がないように見えるが、さまざまな天文ショーが繰り広げられている。月が太陽を隠して神秘的なコロナや金色のリングを見せてくれる日食、月が地球の影に入り神秘的なワインレッドの月を見せてくれる皆既月食、長い尾をたなびかせて突然現われる彗星、雨のように流星が降り注ぐ流星雨などは、躍動的で感動的な宇宙の姿だ。
 2012年は、こういったビッグな天文現象の当たり年。「こんなに大盤振る舞いして大丈夫?」と心配になるほどだ。前置きはこれぐらいにして、どんな天文ショーがあるのか銃を追って見て行くことにしよう。

■3月6日 火星がやってくる〜火星接近
 火星は、地球のすぐ外側の軌道を回っていながら、直径が地球の半分ほどしかないため、およそ2年2ケ月ごとに地球と火星が軌道上でとなりどうしに並ぶ接近のときでないと、表面の詳しい観測ができない。そのチャンスが今年巡ってきて、3月6日に最接近となる。ただし今回の接近はあまり好条件とは言えない。なぜなら、火星の軌道は地球の軌道に比べるとやや楕円であるため、出会う位置によってその距離は大きく変わってしまうのだ。それでも、通常よりも火星のより詳しい観測をすることができるうえ、アメリカの探査機マーズサイエンスラボラトリーが8月には火星に到着する予定なので、火星の新たな情報がもたらされるであろう。

■5月21日 金色のリングが居ながらにして見られる〜金環日食
 日本から見えた金環日食といえば、1987年9月23日の沖縄金環日食を懐かしく思い出すが、あれから25年過ぎた2012年5月20日、ついに日本列島で金環日食が見える日が訪れる。しかも太平洋ベルト地帯といわれる人口密集地、東京・横浜・静岡・名古屋・大阪、そして四国の高知、九州の宮崎・鹿児島といった都市がこの金環食帯に入っていて日本人口の70%が居ながらにして、金色のリングを見ることになろう。東海地方では、1173年以来実に839年ぶりの金環日食となる。日食は、見かけの大きさがほぼ同じ太陽と月が重なったときに見られる現象だが、月の見かけの大きさが太陽より少し小さいときに、完全に重なると、金色のリングが見えることになる。

■6月4日 宵の東空で満月が欠ける〜部分月食
 月食と言えば2011年12月10日に皆既月食が見られたが、6月4日の宵に部分月食が起こる。食分は0.374で、月の約40%が欠ける見ごたえのある部分月食となる。 今年の月食はこの1回きりで、次回比較的高条件で見られる月食はは、2014年4月15日となる。

■6月6日 太陽の前を金星が横切る〜金星の太陽面通過
 2012年は、珍しい現象が頻繁に起こるが、その中でも6月6日に起こる金星が太陽の前を通過する金星の太陽面通過は超稀少現象だ。とはいうものの実は2004年6月にも起こっている。なのになぜ超希少現象かという訳は、金星の太陽面通過は、必ず8月か12月に起こり、どちらも8年と105年の周期で巡ってくる。つまり、8年の間隔で2回起こり、その後は105年間起こらないという現象だからなのである。ちなみに次回は、2117年12月11日まで起こらないのだ。
 さて、今回の太陽面通過は、視直径1分に迫ろうかという巨大な金星が真っ黒な円盤となって、太陽の北寄りのところを7時30分から13時30まで6時間もかけて通過する。太陽面を、ほくろというよりアザともいうべき大きな黒い斑点となった金星が、ジワジワと横切って行くようすが、最初から最後まで日食で使ったメガネを使えば肉眼で見られるのだから、十分満足できるに違いない。

■7月15日 白昼木星が月に隠される〜木星食
 月が太陽を隠すことを日食と言うが、月が星を隠すこともある。これを星食と呼んでいる。とくに惑星を隠す惑星食は、珍しい現象であり観る者を魅了する。その惑星食が今年は2回も日本で見ることができる。
 その1回目が7月15日に起こる木星食だ。2009年2月23日午前中に起こった木星食以来3年半ぶりの現象となる。ただ今回も白昼での現象となるのが残念だが、全国で見ることができる。
 名古屋では、12時30分には西に傾いた木星がかなり月に接近し、それから約30時間後の13時05分に第1接触となる。そして木星は見る見るうちに月の明るいリムの後ろに吸い込まれ、2分弱で月の後ろに姿を隠す。そして約1時間後の14時1分木星は月の欠けて見えない部分から顔を出す。そして木星が完全に姿を現すのは、14時3分。このとき月の高度は20度ほどになっている。
 さて、昼間の木星食で月や木星は見えるのだろうか。月は明るくて大きいので青空をバックにしても見えそうな気がするが、月齢25.5の細い月ともなると、意外なほど目立たないのである。きっと−2等で点光源に近い木星のほうがずっとよく見えるだろう。肉眼ではムリにしても口径5cm程度の双眼鏡やファインダーでキラキラ輝く木星がばっちり見えるはずだ。

8月14日 出たばかりの金星が月に隠される〜金星食
  木星食から1カ月後の8月14日、今度は東の空に昇ったばかりの金星が、月に隠される金星食が見られる。金星食は、2003年5月29日に白昼に起こって以来実に9年ぶりの現象となる。
 名古屋では、2時43分東の空に昇って間もない半月状の金星が、月の明るく輝く側から1分ほどかけて月の後ろに隠れて行く。そして3時28分から1分半ほどかけて月の影になっている部分から姿を見せる。このときの月の高度は20°程になっている。まだ空が暗い時間帯での現象なので、肉眼でも潜入と出現はわかるが、双眼鏡の方がよりはっきりわかる。また望遠鏡なら半月状に欠けた金星がジワジワ月に吸い込まれたり出てくるようすを楽しむことができる。

■11月14日 幻想的なコロナを見よう〜ケアンズで皆既日食

 5月21日の金環日食に続いて、11月14日にはオーストラリアのケアンズ周辺で皆既日食を見ることができる。金環日食も魅力的だが、皆既日食はそれにも増して幻想的だ。ちなみに皆既日食は、月の見かけの大きさが太陽より大きいときに完全に重なったとき、太陽の姿は全く見えなくなり、あたりが薄暗くなると、まるで黒くなったかのような太陽のまわりに淡い光芒コロナが広がる。
 ケアンズでは、東の水平線上に姿を見せた太陽が5時44分に欠け始め、6時38分にダイヤモンドリングに続き皆既となりコロナが広がる。そして6時40分に再びダイヤモンドリングが見え、復円して行き7時40分に円い太陽に戻る。
 



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